【宮原夢画:対談②】写真家として日々実戦する、「問い」の与え方

宮原氏との対談02 <01はこちらから

宮原氏が考える、問い

宮原夢画×菊地あかね×石黒浩 「HI-06 with Shosa」

菊地:
宮原さんは日々作品を作られていると思うのですが、最近の作品では「社会に対する問い、人々への問い」がどのように作品に込められてるかお聞かせいただけますか?

宮原
今まで様々なテーマの作品を相当作ってきました。
自分の気がついたことをテーマにしています。

最近は日本ならではの「慣用句」をテーマにしています。
例えば、目から鱗とか、二枚舌とか、耳にタコができる等。
日本ならではの言語の言い回し。慣用句をそのまま直訳しても多分外国人には通じない。
直訳すると違う伝わり方になってしまいます。

外国人に直訳してこの意味はこういうものだよと説明すると興味を抱くことが多くあります。

日本ではこういう言い回しの仕方をするんだ。耳にタコができるという言葉は、耳にタコができるくらいうるさいことを指す言葉です。翻訳はそういった意図を読み取って説明すると思います。

直訳と慣用句を共存させながら説明すると面白いなと思っていて、そういう作品を今作っています。

目から鱗とかを表現するために、
目から、ブワーッと魚の鱗を使って表現する作品を作成中です。
前回、タカ・イシイギャラリーで個展ルネッサンスを開催してから4年ほど経過しました。
今回、新たに慣用句を表現する個展を開きます。

2023年は慣用句をもとにその言葉が持っている感情の動き。ビジョンとして見えないものを自分なりの解釈でビジュアル化していきます。

菊地:
すごく楽しそうで素敵ですね。

宮原:
作品を作る上で素材を手配することが一番大変です。
「目から鱗が落ちる」だと、魚のうろこの手配。実際にお魚屋さんを巡って魚を見て、どの魚の鱗が一番表現に適してるか考えています。

作品として今できてるのは「二枚舌」です。

菊地:
二枚舌はどのように表現するんですか?

宮原:
二枚舌はこっちでも良いことを言って、あっちでも良いことを言うみたいな表現だと思います。

イメージとしてはどす黒い言葉でニュアンスとしては腹黒さみたいなものもあり、どす黒い舌を強調するために大きい舌を作りたいなと考えた結果、牛舌を仙台から取り寄せたりもしました。

実際に自分で物を見て選ぶことができればいいのですが、お肉屋さんをいくつか回ってもカッティングされた牛舌が多くて、丸々の牛舌が売っていない。
それでもでっかいまん丸の牛の舌が欲しいと思っていたので、舌の手配には苦労しました。

既に撮影したのですが、モデルさんに全身真っ黒に塗って、口からその牛タンを咥えてもらいました。
咥えたりセットアップするのも大変でした。技術的なことなのですが、それをいかに洗練されたコンテンポラリーアートっぽく表現するように作品を作ってます。

菊地:
例えば「へそで茶を沸かす」とかもそうですよね。体と何か日常にあるものを組み合わせて表現してきたのが日本人だと思っています。
そことなくあったけれども誰も追及してこなかったところですよね。

宮原:
そうなんですよ。そこをアートを通じて形にしてやろうと思っています。

菊地:
そこらへんは暗黙知の世界ですよね。

宮原:
日本人ならではの表現ですよね。
日本語は言葉が豊かだと思います。言葉が豊かであったりする一方で言葉をあまり発しなくても一言の言葉で察してよっていうその日本人ならではの文化ではないでしょうか。
昔から存在している日本文化をビジュアル化できたらいいなと思ってます。

菊地:
すごく楽しみです。
どんな個展になるのか、まだ想像がつかないです。いつまで個展を開催されますか?

宮原:
今年の2月まで開催しています。
※対談当時は作品を撮り続けてる最中でした。

菊地:
宮原さんは広告のお仕事をしながら、個展もされていますよね。
写真展の直前とかは朝の5時から活動をしていて、今詰めて創作している姿が、私としてはすごいかっこよく見えたんです。

今でも、個展の前とかお忙しくされていますか?

宮原:
そうですね。作りたいっていう欲求が出てきちゃうと、自分で止められません。
仕事とライフワーク。両立することは大事です。
仕事は仕事でやるのですが、個展はクライアントがいないので自分のアートワークは自由自在に作れます。

だからこそ夜中だろうが朝だろうが時間も関係ない。
作りたいと思ったら、時間に関係なく作業してます。

自分で言うのもあれですが、馬鹿ですね(笑)

菊地:
時間の使い方とか、クリエイターは特殊なことが多くて、一般の方から見たら普通ではない。すごく作りたいと思ったときは、寝食を忘れて没頭して作ることもありますね。

宮原:そうなんですよ。時間は関係なくなっちゃうのかな。

宮原夢画×菊地あかね×石黒浩 「HI-06 with Shosa」

電通クリエーティブキューブ「caretta studio gallery」始動
第1回目は宮原夢画による撮り下ろし作品「NONOKAs Nightmare」を展示
https://shuffle.genkosha.com/event/other/10778.html

写真展開催概要
【会期】
2023年 1月13日(金)~2月13日(月)

観覧可能日時はFACTORYカレッタスタジオのFacebook、Instagramにて要確認。
毎週金曜日17時までに翌週の観覧可能日時を更新。https://www.facebook.com/FACTORY.CARETTASTUDIO

https://www.instagram.com/factory_caretta/

https://www.instagram.com/factory_caretta/
https://www.facebook.com/FACTORY.CARETTASTUDIO
https://www.instagram.com/factory_caretta/

※予約制ではありません。
※可能日時以外のご来場は、ご遠慮ください。

【会場】
汐留カレッタスタジオ
JR「新橋駅」汐留口から徒歩5分

【URL】
https://www.cube-factory.jp/

Share

菊地あかね

東京を拠点にするデザインスタジオKiQ(キク)のFounder & CEO、ディレクター。18歳で仙台から単身ニューヨークへの大学留学を経て、文化の奥深さを探究しに芸者修行。修行を通じて、和の振る舞いに感化される。デザインスタジオKiQでは、アート・文化・テクノロジーの調和をテーマに、これまでにないモノ・コトの再変換を行っており、マルチディシピリナリー(人種・世代を超えた多様な視点)な価値観をクリエイティブとともに提供している。所作コレオグラファーとしても活動し、人間やロボットなどの振る舞いを「所作」の概念でデザインする独自の専門家として国内外で活動。