私が27歳でデザインスタジオを立ち上げるまで 第2話

第一話はこちら

皆さんこんにちは。菊地あかねです。
今日はいつものラジオと前回に引き続きバージョンを変えて、私自身に焦点を当ててお話をします。最近プライベートでいろいろバタバタしていたのですけれども、また引き続きこのラジオも続けていこうと思っているので、よろしくお願いします。

前回、私がなぜデザイナーをしているのか、アメリカから日本の花街に渡ったというところ、欧米でのボディーランゲージとかジェスチャーではなくて、日本ならではの所作振る舞いというのが日本にしかなかったということが発見が自分のインスピレーションになっているというお話をしました。

20代前半は芸者修行をしながらデザイナーをしていて、数年後にデザインスタジオを立ち上げる、という流れまでお伝えしたと思います。

私はデザイナーと芸者修行をすごく楽しんでいました。

パラレルでデザイナーと芸者修行もやるというのは、花街のしきたりとして許されないと芸者のお姉さんがおっしゃったのです。

芸者の方が芸一つで生きている経緯を踏まえると、型破りではないですが、しきたりの中で私みたいな人はいませんでした。

そういうこともありとても悩みました。その葛藤を引きずって過去にするのではなくて、美しい思い出じゃないですけど、憧れた場所に自分自身がいた。その経験をインスピレーションに変えようというふうに割り切りました。

文化への想いというのは、ずっと芸者さんを諦めたという思いもありましたので、自分なりに物にしたい、大事にしたい、そのときの思いっていうもの忘れたくない思いが私にはあり、そういった日本の文化背景に敬意を持ちながら、デザインをしたいというところで、デザイナーを続けていきました。

その後、秋山具義さんというアートディレクターの方の『デイリーフレッシュ』というデザイン事務所に行くことに決めました。

なぜ彼のところに行ったかというと、偶然秋山さんとお仕事をご一緒する機会があったからです。

私は日本の美大とかに行ったことがなく、業界のことを深く知っているわけではなく、秋山さんのすごくいいエネルギーといいますか、人や物に対しての何か新しいカルチャーを取り組んでいる空気感がすごくいい方だなという印象を受けたのが決め手でした。

その当時、前回出ていただいた宮原夢画さんとすごく仲良くて、夢画さんも秋山さんと仕事をされたことがあって、色々な方に相談をしたうえで背中を押してもらえる意見が多かったので、面接を受けました。そこで秋山さんに「きなさい」と言っていただいたので、そこからデザイナーを『デイリーフレッシュ』ですることとなりました。

デイリーフレッシュでは様々な広告にまつわるお仕事をさせていただきました。仕事の内容は本の装丁のデザインやパッケージ、CMやロゴデザインだったりと幅広くお仕事をさせていただきました。世界観を作る秋山さんのお仕事はとても楽しくて、自分でも早く作りたいなと日に日に想いが強くなっていきました。

当時から、25歳ぐらいで独立したいなって思っていました。自分の中でスキルセットと表現したいインスピレーションはありましたが、腕というところにもっと自信を持ちたいと思っていましたのですごくいい経験をさせていただきました。

秋山さんは生き方自身もすごくユニークな方だったので、人間として尊敬する方だと思っています。

面接では3年でやめますとお伝えしていて、実際に3年後に独立をしました。

当時を振り返ると寝ずに働いていた記憶を一番に思い出します。

朝からデザインの指定をして終了するのが日をまたぐ頃。平均して3、4時間くらいしか寝てなかったと思います。自分の作品を作りながら会社の仕事もしていましたので、時間が本当に勿体なくて強く向上心だけを持っていましたが、今振り返ると勝手に自分でブラックな環境を作っていました。

だけどその経験があったからこそ今自信を持って仕事をやれていますし、その経験がなければ物事を突き詰められてない自分のままだったかなと思っています。

2013年からの3年間は一番自分の中で努力して成長したと感じています。

ただそのときはまったく気づかなくて、あのとき頑張っててよかったなっていうふうに3年後独立してから感じたことでした。

ちょっと今日はお時間が来てしまったので、次回また私の3年後の独立のお話にやっとたどり着きそうです。

今日のお話は、菊地が独立をするまでのお話でした。こうやって何か改めて振り返るといろんなことがあったなと思うんですけれども、また公式サイトで記事にしたいなと思っています。

皆さんまたチェックしてくださいね。それではまた。

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菊地あかね

東京を拠点にするデザインスタジオKiQ(キク)のFounder & CEO、ディレクター。18歳で仙台から単身ニューヨークへの大学留学を経て、文化の奥深さを探究しに芸者修行。修行を通じて、和の振る舞いに感化される。デザインスタジオKiQでは、アート・文化・テクノロジーの調和をテーマに、これまでにないモノ・コトの再変換を行っており、マルチディシピリナリー(人種・世代を超えた多様な視点)な価値観をクリエイティブとともに提供している。所作コレオグラファーとしても活動し、人間やロボットなどの振る舞いを「所作」の概念でデザインする独自の専門家として国内外で活動。