奥谷孝司×菊地あかね×宮内俊樹 前編:「”普通”から抽出する新たな可能性」

奥谷孝司×菊地あかね×宮内俊樹 前編:「”普通”から抽出する新たな可能性」

Salon KiQは、創造性とデザインの未来を探求するためのイベントとして、様々な業界から革新的な思考を持つ専門家をゲストに招き定期的に開催しています。第3回の開催となる本セッションでは、株式会社顧客時間の共同CEOであり、オイシックス・ラ・大地株式会社や株式会社Super Normalの代表取締役を務める奥谷孝司氏をゲストとしてお迎えしました。

登壇者の紹介

奥谷孝司氏: オイシックス・ラ・大地 執行役員/エンゲージメントコマースラボ 代表。1997年、株式会社良品計画入社。店舗勤務や取引先商社への出向(ドイツ勤務)、World MUJI企画、企画デザイン室などを経て、2005年、衣料雑貨のカテゴリーマネージャーとして「足なり直角靴下」を開発して定番ヒット商品に育てる。

菊地あかね: KiQのFounder兼CEOで、「所作」研究家・ディレクター。人間やロボットの動作や振る舞いを「所作学」という視点から捉え、独自の表現方法で国際的に活動しています。

宮内俊樹氏: 大学を卒業後、 雑誌編集者を経て、2006年ヤフー株式会社に入社。その後はオリジナルメディア「Future Questions」の編集長のほか、2020年11月よりディップ株式会社の執行役員としてバイトル等のメディアプロデューサー、di総合研究所所長として活躍。2022年5月より株式会社トラストバンクに移籍し、ガバメントクラウドファンディングの責任者に就任。2023年よりKiQの戦略パートナーとして新規事業を担当。

無印良品で培ったデザイン哲学

奥谷さんは、無印良品での製品開発において、いかにして消費者の生活に対して「静かに溶け込むデザイン」であるかを大切にしていたと言います。例えば、奥谷さんが取り組んだ家具シリーズでは、無駄を削ぎ落としたシンプルながらも機能的なデザインが特徴で、これによってどのような住空間にも自然と調和する製品を生み出してきました。奥谷さんは、デザインの背後にある思考プロセスとして「形や色に左右されない普遍的な魅力を持たせること」を目指したと述べました。

コロナ禍における認識の変化

コロナ禍においては、人と会うことが難しくなったり、当たり前だと思っていた何気ない日常が当たり前ではなくなるアブノーマルな時代でもありました。そんな中で「普通」というものが非常に尊いものだと再認識したと言います。

”特別に目を引くような見た目でなくても、それが普通であることに価値がある。”

そういった考えから着想を得て「スーパーノーマル」という新事業が生まれたと言います。

“スーパーノーマル”について

奥谷「0から1を生み出すことが素敵だというのはもちろんで、もともと僕もそういった方向性が好きなんです。ただ、そればかりだと世の中が過剰な刺激で溢れてしまう。実際には“日常”の中にも刺激がたくさん隠れているんですよね。だから、それを丁寧に解きほぐしていくことで、今までありものをより磨くことが新しい顧客体験につながったり、たとえそれが“新しい”わけではなくても、価値が見いだされることがあるんです。今まではこれをやったら儲かるとか、これが社会的にイケてるとかアンサーの部分を追い求めてきましたけど最近は”アンサー”よりも”アティチュード”の部分を大切にしていますね。スーパーノーマルはそこから生まれた僕の社会への表明の一つですね。」

宮内「アートとかって作品だけでいえばAIで簡単に作れたりコピーできたりするんですけど、色んなアーティストに話を聞くとアートとは作品ではなくアティチュードと捉えている方が多いんですね。」

奥谷「そうですね。手に取った人が感じられる生産者がプロセスに込める思いだったりとか、1人1人によって色々な解釈は生まれるけど確かに届くものがあったり、これって確かにこれからの普通になっていくよねと思わせられるようなことをこれからもどんどん展開していきたいですね。

菊地「ビジネスにおいてどうしても資本主義に偏ってしまう中で、新しいシステムを作ろうとしているのかなと感じたのですがそういったプロトタイプをグローバル展開をされていくのかこの先のビジョンはどういったものを描いていますか?」

奥谷「日本は世界的に見てもどこにもない国だと思うんです。現代だけじゃなく歴史から見てもハイクオリティでハイセンスなものが生まれている。そういったものを紡いでいくことが大切かなと思います。また、1つのビジネスが1つのフォースになって欲しいという思いもあります。”何かを強いる”という意味のフォースではなくて、スターが集まって1つの大きな力になるという意味で。ポジティブにみんなのアティチュードが1つの方向に向かってそれを世界に発信していけたらとは思っています。」

菊地「最初のプロダクトとしてはアパレルを作られていると思うんですけど大切にしている部分をお聞きしたいです。」

奥谷「絵巻物のようにストーリーを描けるかってすごく大事だなと思っていて。製作背景や生産者の想いを詰め込むことで単なるTシャツでも1冊のノートでも、意味が生まれてくるかなと思います。」

この続きはレポートの後編にてお伝えします。