U18世代が語る、所作とロボットの未来 ― 心をつなぐコミュニケーションを目指して
8月6日、ATR国際電気通信基礎技術研究所にて、18歳以下の若者を対象とした特別ワークショップ「U18 未来のロボットアイデアソン」が開催されました。
このイベントでは、参加者が最新のアンドロイドと非言語である所作を通じたコミュニケーションを行う『Shosa Future Dialogue 』を体験したあと、大阪大学の石黒浩教授とATRロボットエンジニアの船山智さんを交えて、「アンドロイド技術はどんな社会課題を解決できるのか」「これからの社会でロボットはどう発展していくのか」といったテーマについてディスカッションを行いました。
世代を超えて、幅広い視点から意見が交わされた会場は熱気に包まれました。
参加者たちの感想
ここでは、ワークショップに参加した若者たちの感想の一部を紹介します。
「ジェスチャーだけでコミュニケーションをとるのはゲームのようで、アンドロイドの見た目も含めて、任天堂のWiiの進化系みたいだと感じました」
「アンドロイドと初めて目が合ったとき、少し怖かったです。でも、コミュニケーションを重ねるうちに、表情が豊かになって、同じジェスチャーをすると微笑んでくれたりして、どんどん親しみを感じるようになりました。終わる頃には、私も笑顔になっていました」
「普段は人と目を合わせるのが苦手なので、今日は思い切ってアンドロイドの目を見続けてみました。自分から積極的にコミュニケーションをとっていると、アンドロイドの表情が次第に柔らかくなってきて、年下の子と接しているような優しい気持ちになりました。相手がロボットだからこそ、素直な自分を出せたと思います」
アンドロイドとの非言語コミュニケーションを体験した若者たちからのさまざまな感想について、石黒教授は「セラピー的には、小中学生くらいの方が癒されるかもしれませんね。大人はどうしても穿った見方をしてしまうから」と年代による反応の差異について解説しました。
また、「アンドロイドの第一印象はただの物体でしたが、たまたま手が触れ合った時の驚いたような表情とリアクションを見て、一気に心の距離が縮まったような気がしました。アンドロイド側からも何か能動的なアクションがあると、より深く繋がれたかもなと思いました」といった、アンドロイド側からの働きかけについての意見について、
船山さんからは「体験の最後の方に、アンドロイド側から握手を求めてくるとかあると、体験後の感覚も変わってくるかもしれないですね」と今後の開発についての示唆が語られました。
KiQの菊地も「人はコミュニケーションの中で、相手の反応を求めるので、アンドロイドともそういったキャッチボールを深められるように進化していけると良いですね」と、アンドロイドと人間のより深いコミュニケーションの可能性について説きました。
その後、 『Shosa Future Dialogue 』がどのように社会に役立てられていくのかについて、さまざまなアイデアが出されました。

ここでは、特に多くの共感を得たトピックをいくつか紹介します。
■ 気軽に本音を話せる空間のプロデュース
機械であるアンドロイドを相手にすることで、日常の悩みや感情を気軽に打ち明けられる場が提供されるのではないかという意見がありました。
自分の負の側面を全肯定してくれることで、心の癒しにつながる可能性があるというアイデアにも共感が集まりました。
匿名で心情を吐露できるSNSの役割にも似ていますが、U18世代はデジタルネイティブでありながらも、よりフィジカルな癒しを求めていることが伝わってきました。
■ 教育現場での活用
思春期という不安定な日々を過ごす中で、自分自身の心や感情と深く向き合う機会が得られたという中学生参加者の感想をきっかけに、情操教育にも効果的ではないかとの意見が多数交わされました。
さらに、教育現場だけでなく、受刑者の更生プログラムや、自身のコミュニケーション能力に不安を抱えている方々向けの改善プログラムとして活用できる可能性についても提案されました。
■ メンタルヘルス改善への効果
『Shosa Future Dialogue 』の体験中、自分の動作に応じてアンドロイドが音や光で美しく反応することで、心が癒されるという意見が多くありました。また、この体験が鬱々とした気持ちの改善に効果をもたらす可能性があるとの意見に対しても、多くの共感が集まりました。
U18世代に限らず、幅広い世代からも同様の感想が寄せられているそうで、石黒教授は『Shosa Future Dialogue 』をロボットセラピーとして活用できる可能性に期待を示しました。
今回のワークショップは、所作を通じたコミュニケーションの新しい可能性を探る貴重な機会となりました。
そして、10月にはさらに多くの人々が参加できるオープンハウスを予定しています。
アンドロイドと所作を通じて心を通わせるロボットインスタレーションプログラ「SHOSA」の第2弾として、1 対 1 のコミュニケーション体験だった「SHOSA」を進化させ、2人の来場者がアンドロイドとの三者のコミュニケーションを行います。
未来のコミュニケーションを共に考え、体験できるこのプロジェクトに、ぜひ多くの方々に参加していただき、新しい発見を共有してほしいと思います。
このイベントへの参加を通じて感じたのは、若者たちの豊かな想像力と、未来を形作る可能性の大きさです。
彼らのアイデアが、どのように社会を変えていくのか、今後の展開が非常に楽しみです。