デザインで日本酒を世界へ:飛良泉本舗「nem」受賞パッケージの舞台裏
KiQが酒造「飛良泉本舗」とコラボレーションし、新ブランディングを実施した日本酒「nem」が、毎年全世界の工業製品等を対象に優れたデザインを選定するドイツの国際的なデザイン賞「iF Design Award」において、パッケージング部門で受賞しました。
飛良泉本舗は東北最古、日本では3番目に古い老舗の酒蔵です。そのグローバル向けラグジュアリーラインとして展開される「nem」は、デザインコンセプトを「時を超える、究極のエレガンス」とし、酒蔵のある土地・秋田県にかほ市にまつわるストーリーを友禅師が金箔加工で表現。ラグジュアリーシーンに調和しながら存在感のあるスタイリッシュなデザインに仕上げました。
デザインにおいて代表・菊地が大事にしたのはどのようなことなのでしょうか。話を聞きました。
ーー菊地さんは、「デザインセンスを身に付けるには、デザインの良し悪しがわかるようになること」とお話しています。日本酒のボトルをデザインをする上での良し悪しは、どのようにとらえていましたか。
菊地:一発で勝負できるかですね。一目見て、何を伝えられるかを大事にしていました。
デザインの良し悪しが分かるようになるには、観察・分析が必要です。今回手掛けたデザインは賞をいただきましたが、過去にデザイン賞を受賞し評価されているものをいろいろ見てみると、「分かりやすさ」があるなと気がつきます。2、3分凝視しないと分からないようなものではなく、見たときにすぐに伝わること。意味まで伝われば理想ですが、そうではなくとも、表現しようとしたことが一発で伝わるのはとても大切です。
今回の「nem」は、見た人の中にどういう感情を作りたいかをイメージすることからデザインしています。華やかさ、煌びやかさを一目で感じてほしかったので、説明することなくそれを伝えられる形にすることを意識しました。

ーーその日本酒を手にした人が、その瞬間どんな感情になるかを考えるのですね。
菊地:手に取る人を想像して伝えるというのが、私達デザイナーの仕事だと思っています。今回は主に中国の海外の方向けでしたが、自分は会ったこともない方にも伝わる明確さを今回の日本酒のパッケージデザインでは大切にしました。伝えるだけではなく、伝わるものを。そうやって世界を繋げていきます。
ーー「nem」というブランド名も、日本と中華圏を繋げるものになっていますね。
菊地:はい、「nem / 沈魚」は、中国・春秋時代の美女、西施の美しさに魚たちが泳ぐことを忘れ沈んでしまったという俗説に由来します。にかほの象潟(きさかた)には松尾芭蕉が訪れていて、〈象潟や 雨に西施が ねぶの花〉という俳句を詠んでいます。眺めた景色の美しさを西施に例えたもので、「奥の細道」に収められています。中華圏での限定販売するにかほの日本酒であることを伝えられるブランド名になりました。

ーーラベルのデザインについてはどうですか。
菊地:ラベルには、芭蕉の句にあるねむの花が、曲線を描くようにデザインしてあります。これを着物の絵付け手法で友禅師が手書きし、金箔加工で表現。先のお伝えしたように、華やかさ・煌びやかさを一目で伝えられるように試作を重ねてできあがったものです。
これらを踏まえ、「iF DESIGN AWARD」では「魅力的なモチーフと、国際展開を見据えたバックストーリーとのつながりに焦点を当てた。誰も見たことのない、日本の精神が詰まった高級シャンパンのような、新たな識別性と輝きを放つパッケージフォルムが誕生した」と評価していただきました。
創業500年以上の歴史と技のもと、お客様に「最高の日本酒を体験いただきたい」という一心で醸しあげた飛良泉本舗さんの日本酒は正に、「究極の味わい」です。時間と手間をかけた贅沢製法でつくられた純米大吟醸の、こだわりや味を表現しました。酒蔵に足を運んで感じた飛良泉ならではの魅力や空気感も、ボトルを眺めてお酒を味わいながら感じていただけたらうれしいです。

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